ホテルルーターで宿泊先のインターネットを快適に
〜新搭載、インターネット環境に優しい機能とは〜

■ ホテルルーター(トラベルルーター)とは

ホテルルーターあるいはトラベルルーターと呼ばれる小型Wi-Fiルーターは、宿泊先の有線LANに接続して自分専用のWi-Fiが利用できるものです。ホテルのWi-Fiが遅いときにホテルルーターを利用してインターネットの回線速度を速くすることができます。
実際にビジネスホテルでホテルに設置されたWi-Fiとホテルルーターを、Googleスピードテストで比較してみました。使用したスマートフォンはiPhone、ホテルルーターは「ちびファイ4(MZK-DP300N)」。ホテル既設のWi-Fiは下り6.56Mbps、上り12.5Mbps。ホテルルーターを使用すると下り42.8Mbps、上り55.6kbps。使用頻度の高い下りを比較すると約6.5倍の高速化ができました。
iPhoneをホテル既設のWi-Fiに接続
iPhoneをホテルルーターに接続
ホテルなどに用意されたWi-Fiは、アクセスポイント(Wi-Fiルーター)が部屋ごとに設置されたり、廊下に設置しフロア単位で共有したりと設置方法は様々。宿泊者が多い日、利用者が増える時間帯は回線速度が遅くなることがあります。近年はYouTubeやTVer、動画配信サービスなど、動画を視聴する人が増えデータ量が増えたことも遅くなる要因と考えられます。言い方を変えると動画を視聴するときは、速い回線が欲しくなります。
ホテルに設置されたWi-Fiが遅いときに役立つのがホテルルーターです。ホテル内のLAN配線が無線LAN(Wi-Fi)と有線LANが別系統になっている場合、スマートフォン、タブレット、PCなど多くのデバイスが無線LANに集中します。有線LANを利用するのは一部のPCのみ。そのため利用者の多い無線LANは遅くなりやすく、利用者の少ない有線LANは遅くなりにくい傾向があります。比較的速い有線LANをホテルルーターに接続し、ホテルルーターにスマートフォン、タブレット、PCなどを接続すれば宿泊者数の影響を受けにくく、安定した回線速度でインターネットを利用できます。加えて、ホテルルーターはすぐ近くに設置しますので、ホテル既設のWi-Fiより距離が近いことによる速度面の優位性もあります。
次は別のホテルでPCをホテル既設のWi-Fiとホテルルーターに接続してみました。使用したPCはThinkPad、ホテルルーターは「ちびファイ4」、計測はGoogleスピードテストです。
ThinkPadをホテル既設のWi-Fiに接続
ThinkPadをホテルルーターに接続
ホテル既設のWi-Fiは下り10.8Mbps、上り32.1Mbps。ホテルルーターを使用すると下り92.4Mbps、上り90.3kbps。使用頻度の高い下りを比較すると約8.5倍の高速化ができました。ネットワークのプロパティを確認するとホテルルーターとPCは300Mbpsでリンクしていることが分かります。
ネットワークのプロパティを見ると300Mbpsでリンクしている

■ 4代目「ちびファイ」

今回使用したホテルルーターは新製品の「ちびファイ4」。4代目の「ちびファイ」です。初代「ちびファイ」の発売は2010年。この年はiPhone 4が日本で発売され、ガラケーからスマートフォンに乗り換える人が多かった頃だと思われます。Wi-Fiの利用者も増加したと考えられます。
2010年発売、初代「ちびファイ」
2013年発売、「ちびファイ2」
2代目となる「ちびファイ2」の発売は2013年。翌2014年に3代目の「ちびファイ3」を発売。「ちびファイ2」まではUSB給電でしたが、「ちびファイ3」でデザインを一新。収納式電源プラグ一体型デザインを採用しました。「ちびファイ3」は利便性が高くユニークなデザインコンセプトが好評で、8年を超えるロングセラー製品となりました。
収納式電源プラグ一体型デザインを採用した「ちびファイ3」
2023年発売の4代目となる「ちびファイ4」は「ちびファイ3」と同じ収納式電源プラグ一体型デザインを採用。「ちびファイ3」のWi-Fi 4(IEEE802.11n):最大150Mbps(アンテナ1本)に対し「ちびファイ4」はWi-Fi 4(IEEE802.11n):最大300Mbps(アンテナ2本)と通信速度を向上させました。新たに搭載した電波強度変更機能はWi-Fi出力を5段階に変更が可能で、室外への電波漏れを減少させることにより他の宿泊者への影響を軽減させるなど、インターネット環境に優しいホテルルーターとなっています。

■ 収納式電源プラグ一体型デザインのメリットは

「ちびファイ4」のコンパクトで収納式電源プラグ一体型デザインは様々なメリットがあります。
1つ目はスリムなこと。一般的に家庭のコンセントは縦並びですが、ホテルのデスクに用意されたコンセントは横並び。サイズの大きなACアダプター、充電器などは隣のコンセントを塞いでしまうことがあります。「ちびファイ4」は幅30mmのスリムデザイン。横並びが一般的なホテルのコンセントに挿しても、隣のコンセントを塞ぐことはありません。
2つ目は携帯性。「ちびファイ4」は電源プラグ一体型なので、USB給電方式のように別途ACアダプターやUSB給電用電源アダプターを必要としません。「PCのUSBポートから給電すればACアダプターはいらない」という考え方もあります。プラネックスも「ちびファイ」「ちびファイ2」のころは、そう考えていました。
実際にホテルで使用してみるとPCからUSBで給電すると不都合なシーンがあります。例えばソファーやベッドで映画などをタブレットを使用して鑑賞する場合、PCのUSBポートからホテルルーターに給電すると、PCの電源を点けっぱなしにしなければなりません。当然、PCがスリープしないように設定する必要もあります。寝落ちするとPCは朝までずっと点けっぱなしとなります。電源プラグ一体型の「ちびファイ4」なら朝まで安心して“点けっぱなし”にできます。
ベッドでタブレットを使用する際、「ちびファイ4」なら朝まで安心
宿泊の際の過ごし方は人それぞれですが、「ちびファイ4」のコンパクトで収納式電源プラグ一体型デザインはホテルのインターネット利用を快適にする様々なメリットがあります。

■ アンテナ2本、150+150=300Mbps

Wi-Fiのスペックの1つにアンテナの本数があります。家庭用のWi-Fiルーターは標準的なモデルでアンテナ4本、4×4、4ストリームなどと表記されることもあります。エントリー機は2本、ハイエンド機は8本といった製品もあります。
接続するデバイス側のアンテナ数はほとんどのスマートフォンが2本、エントリー機では1本。ノートPCも2本が標準的で3本という製品もあります。Wi-Fi 4は1本で150Mbps、2本で300Mbps。Wi-Fi 5は1本で433Mbps。2本で866Mbps
WindowsノートPC、アンテナ2本で866Mbps
Macbook Pro、アンテナ3本で1300Mbps
Androidスマートフォン、アンテナ2本で866Mbps
Wi-Fi 4はWi-Fi 5に対し速度は遅くなりますが、遮蔽物に強く遠くまで電波が届きます。また、Wi-Fi 4は対応するデバイスが多いのも特徴です。スマートフォン、タブレット、PCなどはWi-Fi 4、Wi-Fi 5に対応。最新のWi-Fi 6に対応しているデバイスもあります。ですがネットワークカメラ、スマートスピーカーなどはWi-Fi 4にしか対応していない製品があり、ホテル既設のWi-FiもWi-Fi 4で提供されることが多く、Wi-Fi 4は汎用性が高いと言えます。
「ちびファイ」は初代から3代目まではWi-Fi 4でアンテナ1本=150Mbpsでしたが、「ちびファイ4」はWi-Fi 4でアンテナ2本=300Mbpsと理論値で2倍に高速化、多くのスマートフォン、タブレット、PCでインターネット回線を速くすることができます。

■ インターネット環境に優しい!新搭載「電波強度変更機能」とは

「ちびファイ4」は新たに「電波強度変更機能」を搭載しました。どんな機能でしょう。
※電波強度の設定はファームウェアVersion1.03からの機能になります。
前述のとおり、Wi-Fi 4はパソコン、スマートフォンはもちろんスマートスピーカー、監視カメラなど多くのデバイスに対応しています。遮蔽物による影響が少なくアクセスポイントから離れた場所に電波が届きやすいため、ホテル既設のWi-Fiでも広く利用されています。一方でアクセスポイントを設置した部屋の外まで電波が届くため、隣接するWi-Fi同士が干渉し通信速度が遅くなる弊害があります。
「ちびファイ4」が新たに搭載した「電波強度変更機能」は100%/70%/50%/30%/15%の5段階の電波強度を選択することができます。電波を弱くし室外への電波漏れを減少させることにより他の宿泊者が利用するWi-Fiへの影響を軽減させることが可能、新しい時代のインターネット環境に優しいホテルルーターとなっています。
実際にホテルの室内と室外(廊下)で電波強度を100%→50%→15%と変化させたときに、Wi-Fiの電波がどれくらい弱くなるか試してみました。計測には「WiFi Analyzer」を利用しました。
電波の扇マークが付いているのが「ちびファイ4」の電波です。室内の結果は電波強度100%で−25dBくらい。50%で−38dBくらい。15%で−45dBくらいとなりました。電波強度50%でホテル既設のWi-Fiと同じくらいの強度でした。
室内で電波強度を100%で計測
室内で電波強度を50%で計測
室内で電波強度を15%で計測
次は室外(廊下)。電波強度100%で−70dBくらい。50%で−74dBくらい。15%で−77dBくらいとなりました。他のWi-Fi電波に埋もれ、別の部屋からは「ちびファイ4」はほとんど見えないレベルとなっています。
室外で電波強度を100%で計測
室外で電波強度を50%で計測
室外で電波強度を15%で計測
電波強度を弱くした場合、回線速度はどれくらい変化するか確認してみましょう。インターネット回線はバラ付きが大きいのでWi-Fiの部分だけiperf3を使用して計測してみました。NASにiperf3のサーバーを用意して、ノートPCをiperf3のクライアントとして計測しています。NASからノートPCへダウンロード方向を計測したのでNAS→有線LAN→「ちびファイ4」→Wi-Fi→ノートPCという流れです。1分×5回計測して平均の値です。
「ちびファイ4」とノートPCの距離が近いので、電波強度を100%→50%→15%と変化させも、回線速度は98%、92%とわずかしか下がりませんでした。電波強度を下げても充分な回線速度が得られる可能性は高いと思われます。
徐々に人の動きが活発になり、ホテルに宿泊する機会が増えています。ホテルのインターネット環境は様々。有線LANのみというホテルは少なく、無線LANだけというホテルは増えつつあります。まだまだ多くのホテルは有線LANと無線LAN(Wi-Fi)が設置されていると思われます。回線速度はたまにホテルルーターが不要なほど高速インターネットが設置されているホテルもありますが、遅いと感じるホテルは少なくありません。よく泊まるホテルのWi-Fiが遅いと感じている人はホテルルーターを利用すると快適になると思われます。

ネットワークをもっと快適に

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